STEAL!(スティール)
小林明日叶(神凪儚)/ 阿部敦
藤ヶ谷 慧(緑川光)/ 緑川光
クラウディオ・T・ロッティ(三浦祥朗)/ 三浦祥朗
二階堂 亮一(前野智昭)/ 前野智昭
桐生 崇征(神谷浩史)/ 神谷浩史
中川 眞鳥(御勒院鷹磨)/ 寺岛拓笃
楠本 興(堀江一眞)/ 堀江一眞
上里ヒロ(皇帝)/ 立花慎之介
土屋太陽(笹田貴之)/ 笹田貴之
藤ヶ谷 慧(緑川光)/ 緑川光
クラウディオ・T・ロッティ(三浦祥朗)/ 三浦祥朗
二階堂 亮一(前野智昭)/ 前野智昭
桐生 崇征(神谷浩史)/ 神谷浩史
中川 眞鳥(御勒院鷹磨)/ 寺岛拓笃
楠本 興(堀江一眞)/ 堀江一眞
上里ヒロ(皇帝)/ 立花慎之介
土屋太陽(笹田貴之)/ 笹田貴之
声优马甲备忘录
A
岸尾だいすけ = 折葉大作/龍鳳院剣/空野太陽 / 空乃太阳
安元洋貴 = 犬野忠輔
阿部敦 = 神凪儚
B
浜田賢二 = 安芸怜須ケン
保志総一朗 = 相庭剛志
保村真 = 先割れ丼
C
池田秀一 = 紅大君
川田紳司 = 志倉常美/ワッショイ太郎
茶風林 = 邪封淋/邪風林
成田劍 = 青島刃/佐渡時男
成瀬誠 = 嶋崎比呂
D
稲田徹 = 今田鉄夫/今田鉄男/番菜判
大川透 = 小次郎
荻原秀樹 = 小池竹蔵
代永翼 = 蒼月円
E
F
飛田展男 = ルネッサンス山田/田中大輔/郷野三郎/滝田展明
福山潤 = 万栗太郎/山賀弘一/鬼龍院隼人/潤潤
福島潤 = 櫻井真人
G
岡野浩介 = 菱勝
岡田浩司 = 所沢隆士
関智一 = 門戸開
谷山紀章 = 杉崎和哉
高橋広樹 = 沖野靖夫/沖野靖宏/JOE
宮田幸季 = 東城直樹
広瀬正志 = 山中荘一
H
黒田崇矢 = 黒瀬鷹
檜山修之 = 野蔀由輝/左大臣/鴇原翔/伍丈英司/花山啓治/安岡実/蟹澤秀光/山本鋳次/健ヤマト
花田光 = オイリーはな
I
J
井上和彦 = 紫華薰/紫花薰
井口佑一 = 苍井夕真
堀内賢雄 = 松涛エルサ
堀川亮 = 間寺司
結城比呂 = ビスケット子爵/朝美仁美
吉野裕行 = 北山幸二/先割れチョップスティック
近藤隆 = 大石けいぞう/大石恵三
K
L
鈴木達央 = 脳味噌拉麺 / タダノドウテイ
鈴木千尋 = 紫原遥
鈴村健一 = 園村健/中邑勇信/瀧川大輔/森田昌之
立花慎之介 = 皇帝
緑川光 = 氷河流/青川輝/ヒロキ/黒崎和弥
M
N
鳥海浩輔 = 脇坂敦郎/先割れスプーン
O
P
坪井智浩 = 本場伊江
平田広明 = 山口負平
平川大辅 = 平井达矢
Q
青木誠 = 安藤正輝&
秋元洋介 = 中央不敗
千葉進步 = プログレス
前野智昭 = 桜ひろし
R
若本規夫 = 比留間狂ノ介/長野勇/狭山恭司/男気一本/古川源三郎/川中嶋悟/さとう雅義
日野聡 = 十利須我里
S
神谷浩史 = 阿仁谷浩樹
石川英郎 = 堀畑靖
石井康嗣 = 奥山道隆/セルゲイ
上田祐司 = 藤木達哉/苺屋玉三郎/城崎彦太
杉田智和 = 機動装甲(モビルアーマー)/鉄仮面/何武者
杉山紀彰 = 紀之
水島大宙 = 木島宇太
三木真一郎 = 四季透/無量小路兜之介
三宅健太 = 風霧瞬
松野太紀 = 松野大紀
松本保典 = 片岡大二郎/山芋タロウ
森川智之 = 犬神帝/司馬嵯峨之/犬神ミカド/ほうでん亭ガツ(ホウデンテイガツ)
矢尾一樹 = ゴルゴンゾーラ佐藤
山口勝平 = 牛久京也
山崎たくみ = Prof./紫龍
山寺宏一 = あきれすけん
山田義晴 = 藤田義晴
勝杏里 = ヘンリー·バロウズ
柿原徹也 = 魁皇楽
寺岛拓笃 = 御勒院鷹磨
T
笹沼晃 = 一条晃
陶山章央 = 陶山明夫/阿部隼人
田中一成 = しょにー小倉
藤原啓治 = 濱俊作
U
V
W
武内健 = 村上たつや
X
小野大輔 = 中本伸輔
小杉十郎太 = 浜五郎
小西克幸 = 富士爆発/辻宮春彦/木村拓八郎
小泉一郎太 = 粟津貴嗣
緒方賢一 = 山原水鶏
下和田裕貴 = リバウンド玉三郎
下野紘 = 川椰桜
星野貴紀 = チャラ王鞠夫
Y
伊藤健太郎 = 坂ノ上秀麻呂/請一郎/ヘルシー太郎
有馬克明 = 織田優成
櫻井孝宏 = マイケル田中
野島健児 = 高嶺悠賀
野島裕史 = 嶋野裕
羽多野涉 = 春野风
遊佐浩二 = 浅野要二
Z
置鮎龍太郎 = 龍二郎
子安武人 = 十文字隼人/瑞生愁/神楽飛鳥/大宇宙守護/柵間拓哉/藤宫碧尉/壬生浪士
諏訪部順一 = 多惠忍/セルゲイ·パパチョノフ/御成門佐清/堀江悶/初回特典(ウブカタトクノリ)
増谷康紀 = 南武哲好
中田譲治 = 嶋和成
中村悠一 = 仲達
岸尾だいすけ = 折葉大作/龍鳳院剣/空野太陽 / 空乃太阳
安元洋貴 = 犬野忠輔
阿部敦 = 神凪儚
B
浜田賢二 = 安芸怜須ケン
保志総一朗 = 相庭剛志
保村真 = 先割れ丼
C
池田秀一 = 紅大君
川田紳司 = 志倉常美/ワッショイ太郎
茶風林 = 邪封淋/邪風林
成田劍 = 青島刃/佐渡時男
成瀬誠 = 嶋崎比呂
D
稲田徹 = 今田鉄夫/今田鉄男/番菜判
大川透 = 小次郎
荻原秀樹 = 小池竹蔵
代永翼 = 蒼月円
E
F
飛田展男 = ルネッサンス山田/田中大輔/郷野三郎/滝田展明
福山潤 = 万栗太郎/山賀弘一/鬼龍院隼人/潤潤
福島潤 = 櫻井真人
G
岡野浩介 = 菱勝
岡田浩司 = 所沢隆士
関智一 = 門戸開
谷山紀章 = 杉崎和哉
高橋広樹 = 沖野靖夫/沖野靖宏/JOE
宮田幸季 = 東城直樹
広瀬正志 = 山中荘一
H
黒田崇矢 = 黒瀬鷹
檜山修之 = 野蔀由輝/左大臣/鴇原翔/伍丈英司/花山啓治/安岡実/蟹澤秀光/山本鋳次/健ヤマト
花田光 = オイリーはな
I
J
井上和彦 = 紫華薰/紫花薰
井口佑一 = 苍井夕真
堀内賢雄 = 松涛エルサ
堀川亮 = 間寺司
結城比呂 = ビスケット子爵/朝美仁美
吉野裕行 = 北山幸二/先割れチョップスティック
近藤隆 = 大石けいぞう/大石恵三
K
L
鈴木達央 = 脳味噌拉麺 / タダノドウテイ
鈴木千尋 = 紫原遥
鈴村健一 = 園村健/中邑勇信/瀧川大輔/森田昌之
立花慎之介 = 皇帝
緑川光 = 氷河流/青川輝/ヒロキ/黒崎和弥
M
N
鳥海浩輔 = 脇坂敦郎/先割れスプーン
O
P
坪井智浩 = 本場伊江
平田広明 = 山口負平
平川大辅 = 平井达矢
Q
青木誠 = 安藤正輝&
秋元洋介 = 中央不敗
千葉進步 = プログレス
前野智昭 = 桜ひろし
R
若本規夫 = 比留間狂ノ介/長野勇/狭山恭司/男気一本/古川源三郎/川中嶋悟/さとう雅義
日野聡 = 十利須我里
S
神谷浩史 = 阿仁谷浩樹
石川英郎 = 堀畑靖
石井康嗣 = 奥山道隆/セルゲイ
上田祐司 = 藤木達哉/苺屋玉三郎/城崎彦太
杉田智和 = 機動装甲(モビルアーマー)/鉄仮面/何武者
杉山紀彰 = 紀之
水島大宙 = 木島宇太
三木真一郎 = 四季透/無量小路兜之介
三宅健太 = 風霧瞬
松野太紀 = 松野大紀
松本保典 = 片岡大二郎/山芋タロウ
森川智之 = 犬神帝/司馬嵯峨之/犬神ミカド/ほうでん亭ガツ(ホウデンテイガツ)
矢尾一樹 = ゴルゴンゾーラ佐藤
山口勝平 = 牛久京也
山崎たくみ = Prof./紫龍
山寺宏一 = あきれすけん
山田義晴 = 藤田義晴
勝杏里 = ヘンリー·バロウズ
柿原徹也 = 魁皇楽
寺岛拓笃 = 御勒院鷹磨
T
笹沼晃 = 一条晃
陶山章央 = 陶山明夫/阿部隼人
田中一成 = しょにー小倉
藤原啓治 = 濱俊作
U
V
W
武内健 = 村上たつや
X
小野大輔 = 中本伸輔
小杉十郎太 = 浜五郎
小西克幸 = 富士爆発/辻宮春彦/木村拓八郎
小泉一郎太 = 粟津貴嗣
緒方賢一 = 山原水鶏
下和田裕貴 = リバウンド玉三郎
下野紘 = 川椰桜
星野貴紀 = チャラ王鞠夫
Y
伊藤健太郎 = 坂ノ上秀麻呂/請一郎/ヘルシー太郎
有馬克明 = 織田優成
櫻井孝宏 = マイケル田中
野島健児 = 高嶺悠賀
野島裕史 = 嶋野裕
羽多野涉 = 春野风
遊佐浩二 = 浅野要二
Z
置鮎龍太郎 = 龍二郎
子安武人 = 十文字隼人/瑞生愁/神楽飛鳥/大宇宙守護/柵間拓哉/藤宫碧尉/壬生浪士
諏訪部順一 = 多惠忍/セルゲイ·パパチョノフ/御成門佐清/堀江悶/初回特典(ウブカタトクノリ)
増谷康紀 = 南武哲好
中田譲治 = 嶋和成
中村悠一 = 仲達
カインのとある一日

その日のお昼時、美味しいコーヒーでも飲もうと思って、いつもの店に向かったんだけど――。
アンラッキーって、こういうのを言うのかな。いきなりのどしゃ降りに、なすすべなし。
しかもこういう時に限って、傘を持って来るのを忘れちゃった、ときた。
『水も滴るいい男』って言葉があるみたいだけど……濡れてる当人からすると、楽しくも何ともない、びしょ濡れで気持ち悪いだけ。
しかも、時間を間違えたみたいで、店はまだ開店前。
しょうがないから、どこかで時間でも潰して来ようと思ってたら……店の中で開店の準備をしてたマスターが、言ってくれたんだ。
「不運だったみたいだね。中で、シャワーでも浴びて行ったらどうだい?」ってね。
断る理由なんてどこにもないから、ボクは素直に好意に甘えることにした。
にしても本当、警戒心のない男だよね。
いくら常連だからって気軽に開店前の店に入れて、シャワールームを使わせるなんて。
彼がかつて何をしてたのかを考えたら、別人みたいな変わりようだよ。
きっと彼は、ボクがここに通ってる目的にも、気付いてないんだろうな。
人を疑うって考えを持ち合わせてないのかも。
……長い間、あの場所にいたとは思えないよね。
そんな取り留めもないことを考えながら、シャワールームを出た時だった。
「……今日は、どうしても聞かせていただきたいことがあって、来たんです。構いませんか?」
聞き覚えのある声が、ホールの方から聞こえてきた。
拭いかけの髪もそのままに、ボクは彼女の所へ走って行く。
そして――。
「Wao! ボクに会いに来てくれたんですね、Baby girl!! I’m glad! 嬉しいです!!」
言いながら、彼女――聖 双葉の細い身体を抱きしめようとする。
陽気でオープンで、細かいことにこだわらない――彼女が信じている『カイン』という青年そのままの表情と態度で。
「ちょ、ちょっと――!!」
突然のことに驚いて、一瞬反応が遅れたものの、それでも深くハグされる直前にボクを突き飛ばす反応速度はなかなかのもの。
何とかボクの胸を押しのけながら、彼女は問いかけてくる。
「ど、どうしてカインがここにいるわけ? まだお店、開いてないんでしょ?」
「ハイ。雨に降られちゃって困ってたら、マスターがシャワーを貸してくれたんです」
「そうなんだ……」
そう答える双葉の声音に、寂しげな響きが含まれていた。
その反応に気付かないふりをして、質問を投げかける。
「双葉は、どうしてここに来ましたか? マスターに、何か用事ですか?」
「それは……」
双葉は当惑げな表情になり、言葉を濁す。
すると、それまで沈黙していたマスターが……。
「彼女も、この店を気に入ってくれているみたいでね。よく来てくれるんだ。今日は間違って、開店前に来てしまったようだが」
「……へえ、そうなんですか。じゃあ、ボクと同じね」
笑顔でそう答えるけれど、ボクはマスターの説明なんて全然信じちゃいなかった。
もし彼の言うことが本当なら、双葉が答えを躊躇する理由なんてないはず。
おそらく彼女は、マスターに何か重大な話をする為、あるいは何かを聞かせてもらう為にここに来たのだろう。そしてそれは、他の人間には聞かれたくない話なのだと思う。
話の内容に興味がない訳ではないが――深追いは禁物だ。彼女に正体を悟られてしまっては、元も子もない。
だからボクは、いつもの軽い調子で……。
「OH、どうしました? 双葉。もしかして、雨に降られて風邪引きそうですか? だったらすぐに、シャワーを浴びて身体を温めた方がいいですよ。ほら、早く――」
そう言って、彼女が着ている制服のボレロを脱がせようとすると――。
「べ、別に風邪引きそうになんてなってないってば! っていうか、どさくさにまぎれて制服を脱がせようとしない!!」
いつもの調子で、拒絶されてしまった。
「ン~、ボク、双葉のことを心配してただけなんですけど……誤解されてるみたいね。悲しいです」
「誤解じゃないってば。あなたの考えてることなんて、お見通しなんだから」
言いながら、ぷいっと顔をそむける双葉に、思わず苦笑が漏れてしまう。
ボクの考えてることなんてお見通し、か。
……本当に見通せてたら、そんなセリフ、絶対に出てこないと思うんだけどね。
キミは本当に素直でカワイイよ、Stupid girl.
(終)
久神のとある一日

私が保健医としてこの学校に赴任して来てから、そろそろ一ヶ月になる。
ここでの生活に、だいぶ慣れてはきたのだが――。
「久神先生、おはようございます!」
「あっ……ああ、おはよう」
こうして挨拶された時、とっさに返事が出て来ず、タイムラグができてしまう。
長い間、挨拶というものが必要ない環境に身を置いていた為だが……これはもう、場数を踏んで慣れるしかあるまい。
そんなことを考えながら、保健室に向かう途中。
「先生、おはようございます!」
聞き慣れた声が、少し離れた場所から飛んできた。
声のする方を振り返ると、案の定――。
「……聖、君か」
この学校の二年生で、ある意味、学校で一番の有名人――聖 双葉が立っていた。
「はい! 先生、私の名前、覚えてくださってるんですね」
「ああ。……君は、有名人だからな」
私の言葉に、彼女は居心地悪そうに身をすくめた。
美形の転校生二人にかしずかれる生活というのは、傍から見るほど楽しいものでもないらしい。
しばらく彼女と肩を並べて歩いていたが、ふと、あることに気付いて、足を止める。
「……この匂いは?」
「えっ? 何か、匂いがしますか?」
「いや、不快な匂いというわけではないのだが……シトラスのような香りが……」
「シトラスって、柑橘系でしたっけ? だったら、アロマオイルの香りかも知れません」
「アロマ?」
「はい。グレープフルーツとか、柑橘の匂いは集中力を高めてくれるって聞いたので、勉強する時に焚くようにしてるんです。……少しでもはかどるといいなぁ、って思って」
「……なるほど。それで、効果のほどは?」
そう問うと、彼女は困ったような笑顔になる。
「あまり効果はないらしいな。まあ、気分転換ぐらいにはなるのだろうが」
「そうですね」
その後、軽く世間話をしたあと、私は保健室へ、彼女は自分の教室へと向かった。
この学校はどうも、虚弱体質の生徒が多いらしい。
休み時間のたびに、多数の生徒達が保健室へとやって来る。
しかも、なぜか女生徒ばかり……。
ダイエットとやらで、ろくに栄養を摂っていない為か? その割には、どの生徒も妙に血色がいいようなのだが。まあ、細かいことを気にしても仕方あるまい。
……今日は、生徒の数が特別多かった為か、疲れてしまったな。
そういえば昨夜は、夜遅くまで本を読んでいたせいで、あまり眠っていなかった。
多少、仮眠を取った方がいいか?
いや、職場で居眠りするのは、いくら何でも非常識というものだ。
もう少しだけ……我慢を……
駄目だ、本格的に眠くなってきてしまった。
十分だけ、仮眠を取るか……。
夢かうつつかは分からんが、その後、入り口の戸が開く音がした。
「……生? 久神先生、いらっしゃらないんですか?」
聞き覚えのある声が、やや離れた所から聞こえてくる。
この……声は……。
「――先生! 久神先生、いつまで寝てるんですか? 駄目ですよ、こんな所で寝たりしちゃ! 風邪引いちゃいますよ!」
肩を揺すられる感触で、眠りの中にあった意識が呼び覚まされる。
「ん……んっ?」
目を開けると、窓からは黄金色の夕日が射し込んでいた。
十分だけ仮眠を取るつもりが、つい熟睡してしまったらしい。
「大丈夫ですか? お疲れなら、ベッドでゆっくり休んだ方がいいんじゃ?」
見慣れないその女生徒は、私を気遣ってか、そう言ってくれる。
「いや、単なる寝不足だ。心配は要らない――」
そう言って立ち上がろうとした時、肩にかけられていたとおぼしきブランケットが、はらりと落ちた。
いつ掛けられたものなのだろう? まったく覚えがない。
「これは……君が掛けてくれたのか?」
「いえ、違います。わたしが入って来た時には、既に掛けてありましたけど」
「ふむ……」
床に落ちたブランケットを拾い上げた時、独特の匂いが鼻をつく。
柑橘のような、爽やかな匂い。これは、もしや……。
「わざわざ持ってきて掛けてくれたのか? 物好きなことをする」
そう呟く唇が、ひとりでに笑んでしまう。
「えっ? 物好きって……何がですか?」
傍らにいる女生徒は、不思議そうに問いかけてきた。
「いや、何でもない。独り言だ」
そう言った後、私はブランケットを畳み、机の上へと置いた。
終業を告げるチャイムが、静かな保健室に響き渡った。
(終)







